

量子化学計算による反応解析(反応経路IRC解析)
前回の記事で解析した遷移構造では、振動解析の結果からエステル分子のβ位の水素が引き抜かれる様子が示されており、この反応の遷移構造である可能性が高いと考えられます。しかしこれだけでは、この遷移構造が実際の反応物、生成物につながっているかは保証できません。IRC(Intrinsic Reaction Coordinate 固有反応座標)解析では、遷移構造から最小エネルギー経路を探索し、反応物(または生成物)に至る経路となっているかを確認します。


酵素の失活(2)
酵素の失活について、その原因と対策をまとめた「酵素の失活」に多くのアクセスをいただいております。これは酵素の失活をどう防ぐかについての観点からまとめたものでしたが、逆に酵素の活性をなくしたい、活性がなくなっているかの確認方法を知りたいとのご要望があることが分かりました。ただ、活性が「完全に」失われていることを保証できる測定法はなく、「活性の検出限界」以下という表現でしか議論することはできません。酵素の不活化においては活性がどのレベルまで許容されるかという観点で考える必要があります。今回は、酵素の不活性化についてまとめてみました。


量子化学計算による反応解析(遷移構造探索)
量子化学計算による反応解析として遷移構造の探索について紹介いたします。事例としてエステル化合物の熱分解を取り上げます。量子化学計算の反応解析の基本的な部分について解説しています。


金属含有タンパク質ーヘモグロビン
生体には数多くのタンパク質があり、酵素として働くもの、構造体として働くもの、輸送体として働くものなど、その働き方は多様です。多くは、触媒機能を持つ酵素として生体の活動を支えており、そのタンパク質には様々な金属を含むものが数多く見られます。金属タンパク質の代表的なものはヘモグロビンで、タンパク質構造に鉄が配位したヘムを含み、酸素の供給に必須なタンパク質です。今回は、ヘモグロビンを取り上げます。


シリーズ:有機分子を見るー糖④マルトース
マルトース(麦芽糖)はグルコースがα-1,4グリコシド結合でつながった構造の二糖で、デンプンやデキストランからβ-アミラーゼによって生成する主な糖として知られています。β-アミラーゼは麦芽(Malt)に多く含まれており、ビールやウイスキーの原料となる麦汁(Wolt)の生産に関与する酵素で、マルトースの生産に欠かせない酵素です。その麦汁を酵母が代謝する工程でアルコールと二酸化炭素が産生されます。麦芽は大麦を使い、焙煎工程を経て保存できる状態とし、低温焙煎からマルターゼ活性が高くあまり着色していない麦芽、焙煎温度が高くマルターゼ活性が失活している強く着色した麦芽、その中間など数多くの種類の麦芽があります。今回はその麦汁の主要な糖であるマルトースの分析方法についてご紹介いたします。


シリーズ:有機分子を見るー糖③スクロース
スクロースはショ糖(蔗糖)と呼ばれサトウキビなどに含まれている糖で、グルコースとフルクトースがα-1,2グルコシド結合した二糖構造の物質です。砂糖や甜菜糖の主成分で調理や様々な食品に添加物として使用されており、独立行政法人日本農畜産業振興機構によると日本での年間消費量は約180万トン(令和5年砂糖年度:令和4年10月~令和5年9月)と推定されています。海外への輸出品や海外からの輸入加工品にも含まれていますので、一概に正しい値かどうかは分かりませんが、一人当たり年間15グラムという数値となり、血糖値の急激な上昇を引き起こすため、砂糖の過剰摂取を控えるケースや甘味料の使用などによって抑制されている状況があることは確かですが、思ったほど多くないという印象です。今回はスクロースの分析法についてです。










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