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速度の測定法(2)-光の速度1

更新日:3月25日

はじめに

光は一秒間に約30万キロメートル進むことが知られています。光については、17世紀においてニュートンが粒子であるとの見解を示し、波動であるとするフックと対立します。波動説が優位となった時代を経て、光が直線的に進むことと干渉する現象を説明するためには、粒子と波の両方の性質を持つ光子であるとのアインシュタインの見解で落ち着きました。光が無限(点灯した瞬間にどのような距離にでも到達する)なのか、有限(速度を持つ)なのかについては、今から約300年以上前の天文学者であるレーマーによって光が有限であることが示されました。その方法は、木星の衛星であるイオの周期が微妙にずれることを利用したものでした。その当時観測されていたイオの周期、太陽と地球の距離、地球と木星の距離などの数値を用いて算定した光の速度は約20万キロメートルとかなり小さい値でしたが、それでも光の速度が分かったことは画期的でした。ここでは17世紀から18世紀においてなされた天体を使った光の速度の測定法についてご紹介します。


レーマーの測定法

光の速度は有限か無限かについては、紀元前から様々な人々が考察し議論されてきましたが、光の速度は有限と考え、測る方法を提案したのはガリレオといわれています。ただ、当時は光の速度レベルの速さを地上で測ることができる技術がなく測定に至りませんでした。その後、惑星とその衛星の回転周期をもとに光の速度を決めたのはオーレ・レーマーといわれています。当時はガリレオらによって望遠鏡を使った天体観測により天体力学を取り入れた天文学へと進化していった時期であり、太陽系の惑星の公転周期や、惑星の衛星の公転周期が測定されていました。1610年にガリレオによって発見された木星の4つの衛星はガリレオ衛星と名付けられ、現在はそれぞれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと呼ばれています。レーマーは、イオの木星食が現れる時間のずれが光の速度が有限であることに起因しているとし、光の速度を求めることができることを示しました。その原理を図1に示します。図1は、地上の観察者がイオの木星食を観察する場合に太陽の光の妨害を受けないことを前提とした原理図となっています。

図1 光の速度測定法の原理図


太陽と地球の距離は約1.5億キロメートルで、レーマーはイオの木星食の時間のずれは、イオが木星に隠れる瞬間に出た光が地上の観測者に届くまでにかかる光の遅れの違いだと考えました。木星から位置Aの地球までの距離と位置Bの地球までの距離の差が正確にわかると光の速度を求めることができます。この木星食の時間のずれからレーマーが求めた光の速度は約21万キロメートル/秒とされていますが、さまざまな見解があるようです。レーマーは、1676年9月に、その年の11月9日のイオの木星食が10分遅れることを予言し、観察したところ確かにずれが確認されたとされています。起点となった木星食が位置Aだとすると、位置Bでの10分の遅れは妥当に思われます。いずれにせよ、レーマーは光に速度があることを詳細な天体観測によって示した最初の人物であったのは間違いありません。著名な研究者による反論もあったようですが、これによって光は速度を持つことが示されました。


ブラッドリーの測定法

その後、1725年にジェームス・ブラッドリーは光の速度を年周光行差から秒速30万キロメートルという値を出しています。これは、現在、私たちが教わっている光の速度とほぼ等しい値です。光行差とは、観測者が動くことによって、本来は光がまっすぐに届くべき位置からずれるために生じる差で、年周光行差は地球の公転によって生じる差です。地上の観測者が最も早く動くのは地球の公転によるものでした。人工的な物体でその速度を超えるものは現在までありません。地球上の物体は太陽の周りを廻っており、その移動速度は地球の公転直径である3億キロメートルを用いると秒速約30キロメートルとなります。地上にいる私たちが星を観測すると、基準点に対して円・楕円運動あるいは往復運動をしているように見えます。地球が太陽を廻る円の軸方向にある星は円運動となり、軸からのずれの大きさによって楕円の長軸が伸びてきます。面方向にある星は往復運動になります。

図2 光行差が生じる要因


ブラッドリーはロンドンの天頂を通るりゅう座γ星の観察によって年周視差を測ろうとしましたが、りゅう座γ星は約154光年の距離にあり、太陽と地球の距離は1.6x10^-5光年で視差は6x10^-6°となり、当時の観測技術では測定できませんでした。約154年前にりゅう座γ星から放たれた光は観測者によって実際の位置から20.5"ずれたところから来た光として捉えられ、以下の式によって光の速度が求められました。


光の速度c=360x60x60x30÷(2x3.14x20.5)=3.02x10^5 km/sec


この速度は、現在知られている29.98キロメートル/秒と比べても遜色のない数値です。ブラッドリーは20年以上にもわたる詳細な観測によって、様々な現象をとらえ年周光行差を見出し、その発生原因を考察することによって、正確に光の速度を求めることができました。レーマーによる光が有限であることが分かってから約50年後のことです。


おわりに

光の速度は有限であり秒速30万キロメートルであり、太陽の光は約8.3分後、木星からの光は43.3分後に地上に届きます。夜空を見上げた時に目に入る星の光は、遠いもので1~2万年前に星から放たれており、また、地球のある銀河系は直径約20万光年といわれていますので、宇宙の大きさからみれば光の速度がいかに遅いかが分かります。また、宇宙は膨張し続けていてその速度は光速をはるかに上回るといわれています。私たちが見ている宇宙は光や電磁波で観察できる一部に過ぎず、それ以外は観察することができないので、分かってきた宇宙の姿に想像を加えながら光速を越えた領域にある宇宙を描いていくことになります。光速の数十倍という速度で広がっている空間に観察者がいたとすると、その観察者から見える宇宙はごくわずかの広さでしかなく、今、私たちが目にしている宇宙とは全く異なる姿をしているのかもしれません。




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