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パンの発酵工程のメタボロミクス  ~食品開発展2025プレゼン~

4 時間前
読了時間: 4分

2026年10月14日(水)~16(金)の日程で食品開発展が東京ビックサイトにて開催されます。昨年に引き続き、弊社同仁グローカルも出展させていただく予定です。今年も様々な展示やプレゼンテーションを計画しております。詳細については後日発表させていただきます。多くの皆様のご来場をお待ちしております。

 

今回の記事では、昨年の食品開発展2025で好評だったプレゼンテーション「パンの発酵工程における糖及びアミノ酸の変化」の内容の一部を紹介させていただきます。


1.はじめに

パンの発酵では、小麦粉中の糖が酵母によって分解されCO2とアルコールが生成されることによって生地が膨らみます。この過程においては、その他の成分が酵母の代謝によって変化しており、これらの成分の変化の過程がパンの食感や味、風味などを変化させます。例えば有機酸の生成は生地のpHを変化させたり、アルコールやエステル類、脂肪酸などはパンの香りや風味に大きく影響すると考えられます。今回の検討では、パンの発酵過程における糖とアミノ酸の量的な変化をモニタリングしました。


2.実験方法

2.1 サンプルの調整方法

① 材料を加水した上でフードプロセッサーの「パンこねモード」で1.5分混合

② 生地を25gずつに小分けにする。

③ 室温(23℃)でインキュベート

④ 30分毎に一定量をサンプリングし、冷凍保管したものを試験サンプルとした。

(発酵時間4.5時間)



発酵の過程
発酵の過程

2.2 分析

<抽出>

 ①サンプル0.1gをBligh-Dyer法で抽出(クロロホルム・メタノール・水)

 ②懸濁液を15,000g、5分間、4℃で遠心分離

 ③上相を試験液とした(水溶性の糖とアミノ酸に着目)

<サンプル調整と分析>

 ①試験液を乾固

 ②オキシム化・シリル化法で誘導体化

 ③GC/MSで分析(SCANモード)


2.3 試料

試料は、表1に示す2種類を調整し、サンプルAは強力粉のみ、サンプルBは強力粉と全粒粉を50%ずつ加えた全粒粉入りのものとしました。


表1 試料

4.結果

図1にサンプルA(強力粉のみ)のGC/MS分析結果(クロマトグラム)を示します。それぞれ発酵前と発酵後の結果を示しており、成分量が変化している様子が分かります(赤枠のピークを上下で比較)。

図1 サンプルA(強力粉のみ)の分析結果
図1 サンプルA(強力粉のみ)の分析結果

図2は、アミノ酸の時間による変化を示しています。サンプルAとBでは、初期の成分量とその後の変化の傾向に違いがあることが分かります。ここで示したアミノ酸は、発酵によって消費されているのに対してグリシンのみが増加しており、生成していることが分かります。


図2 アミノ酸の時間変化
図2 アミノ酸の時間変化

続いて有機酸の時間変化を示します(図3)。リン酸については、サンプルB(全粒粉入り)のみ、増加することが分かります。そのほかの成分についてはサンプルによって初期濃度に差があるものの、時間による変化は差がありませんでした。


図3 有機酸の時間変化
図3 有機酸の時間変化

一方で、α-ケトグルタル酸、コハク酸、グリセロールはサンプルA(強力粉のみ)、B(全粒粉入り)ともに同じ濃度で、時間経過とともにほぼ直線的に上昇しました(図4)。


図4 α-ケトグルタル酸、コハク酸、グリセロールの時間変化
図4 α-ケトグルタル酸、コハク酸、グリセロールの時間変化

6.まとめ

今回の結果から、サンプルの違いによって、初期の成分量や発酵による時間変化に差があることが分かりました。全体として糖やアミノ酸の消費速度は、全粒粉入りのサンプルBの方が遅い傾向となりました。今回の時間による成分の変化は、主に酵母による発酵で消費、産生されたと考えられますが、成分の変化は発酵以外にも酵素によって分解、または蓄積する物質もあり、正確な評価のためには、さらなる分析や解析が必要と考えます。

 

GC/MSによって代謝物を網羅的に分析することによって産地や品種による違い、原料の妥当性確認、成分と官能試験の相関、機能性成分の探索、保存状態による成分の変化などの解析に役立つ可能性があると考えられます。弊社では、様々なご要望に基づいた分析や試験をご提案させていただきます。お気軽にご相談いただければ幸いです。



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