酵素の仕事シリーズ 4)リパーゼ

脂質には単純脂質と複合脂質があり、単純脂質には、中性脂肪(グリセリンなどのアルコールと脂肪酸のエステル化合物)やコレステロールエステルなどがあり、複合脂質には、リン脂質(グリセロールにリン酸エステルと脂肪酸エステルが付加した構造体)や糖脂質(糖とグルコシド結合で繋がって脂肪酸エステル構造やアミド構造を持つもの)、また、それらの脂溶性分解中間体である誘導脂質などがあります。リパーゼはこれら脂質のエステル結合を加水分解する酵素で、ウイルスや菌などを含めて、ほとんどすべての生物に存在しており、動物では胃液や膵液などの消化液に含まれています。脂肪酸の種類が豊富なこともあり、それらで構成される中性脂肪は極めて多様で、それらに対応するためにリパーゼの基質特異性は低いと認識されています。一方、高い構造選択性を持つリパーゼも数多く存在しており、例えば、蛇毒などに含まれるホスホリパーゼA1はリン脂質等の端、A2は真ん中のエステル結合を選択的に切断します。リパーゼは有機溶媒中でも失活しにくく、また逆反応も進行するため、脂質化合物誘導体の化学合成において重宝されています。以下、リパーゼの加水分解反応を示します。

トリグリセリドの加水分解反応

リン脂質の酵素分解反応と選択性

リパーゼ活性測定法について

リパーゼ活性を測定する一般的な方法としては、オリーブオイルの乳化液にバッファーを加え、それに抽出した酵素液を添加混合し、正確な温度及び時間で酵素作用を行わせます。その後、反応停止液を加え、水酸化ナトリウム水溶液を加えたのち、pH指示薬を添加し、中性になるまで塩酸水溶液を加えます。ブランクとの差を求め、消費された水酸化ナトリウム量から酵素活性を算定します。一般的な分析の流れを下図に示します。

 

基質水溶液(オリーブオイル乳化液)

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   ←pH調整(pH7.0)

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   ←酵素液(被検体抽出物溶液)添加

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   ←インキュベーション

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   ←反応停止液

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   ←水酸化ナトリウム水溶液添加

   ←pH指示薬添加

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   ←塩酸水溶液添加

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活性値変換(ユニット*/g、ml等)

 

​*20分間に0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液1mLに相当する活性を1単位

 

そのほか、分子内における蛍光消光を利用した蛍光発色基質を使ったリパーゼ活性分析も行われています。