酵素の仕事シリーズ 5)セルラーゼ

​はじめに

セルラーゼは細菌や植物が保有している酵素で、β-1, 4-グルカン構造を持つセルロースなどのグリコシド結合を切断します。セルラーゼにはセルロース構造の内部の結合を切断するエンドグルカナーゼと呼ばれる酵素と、末端からセルビオースを切り出すエキソグルカナーゼと呼ばれる酵素があります。草食動物では消化器官にセルロースを分解できる微生物を保持し、その微生物が難分解性長鎖多糖類を短鎖糖類に分解し脂肪酸等へ変換することにより栄養として吸収できる仕組みを持っています。

 

セルロースは植物の細胞壁に含まれており、地球上に最も多く存在する有機化合物といわれています。植物は二酸化炭素や水、養分を吸収し光合成によって複雑な有機化合物を作り出すことで成長し、季節の変化により落ち葉や枯れ草、朽木となって地面に積り、それらは昆虫により裁断され微生物により腐食分解され、二酸化炭素や養分となり植物の成長のための材料となる分子サイクルによって命を繋いでいます。セルラーゼはセルロースを分解するために欠かせない酵素ですが、植物を分解するにはセルラーゼだけではだめで、その他の多糖やタンパクを分解する機能を持った酵素が総合的に関与することが必要です。そのため、昆虫の持つ微生物や土壌菌の共同作業によって分解される仕組みが作り上げられています。現在、豊富に存在するセルロースをグルコースに分解することにより、バイオエタノールの原料にしようとする試みが行われています。微生物が作り出した分解システムを理解し、安価で効率的な方法を見つけ出すことができれば、二酸化炭素排出量の抑制に寄与できると考えられます。また、酵素を用いてエタノールを取り出す方法も含めた多様なアプローチによって、エネルギー源として使用されてこなかった材料を有効に使えるようにすることは、これからの人類にとって重要な取組の一つかもしれません。

セルラーゼ活性測定法

 

​セルロースには水溶性がないので、セルラーゼ活性分析には水溶性のカルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられます。但し、カルボキシメチル基が導入されているグルコースはセルラーゼで切断できませんので、水溶性を出すのにできるだけ少ない数のカルボキシメチル基が導入されたCMCが必要です。酵素反応によってCMCから生じた還元糖をグルコース量として測定することにより酵素活性を求めます。一般的な分析の流れを下に示します。

基質水溶液(1%CMC溶液)

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   ←40℃に予熱

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   ←酵素液(被検体抽出物溶液)添加

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   ←インキュベーション

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   ←発色液を添加

   ←沸騰

   ←放冷

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   ←チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定

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活性値変換(ユニット*/g、ml等)

*30分間に1 mgのグルコースを生成する酵素量を1ユニットと定義