酵素の仕事シリーズ 3)アミラーゼ

​​はじめに

糖質であるデンプン等のグルコシド結合を加水分解する酵素で、動物では唾液や膵液に、植物ではダイコンなどに含まれています。また、麹菌や枯草菌などにも含まれ、高峰譲吉が商品化したアミラーゼであるタカジアスターゼは麹菌から取り出されたものです。アミラーゼにはα-アミラーゼ、β-アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼなどの異性体があり、α-アミラーゼは、デンプンをデキストラン、オリゴ糖に加水分解し、β-アミラーゼはマルトースを生成し、グルコアミラーゼは糖化型アミラーゼとも呼ばれ、デキストラン、オリゴ糖をブドウ糖に分解します。α、βの分類は、生成する糖類の旋光性によるものです。デンプンは、α―グルコースが1,4-グルコシド結合で連なり直鎖状になったものがアミロース、一部、1,6-グルコシド結合で分岐した構造のものがアミロペクチンと呼ばれ、直鎖状構造の部分において、水素結合によりグルコース6分子で一回りのらせん状の構造体となるので、そこにヨウ素分子が包接されることにより青色に着色します。そのため、らせん構造を壊すような物質を作用させると、ヨウ素分子が放出され退色していきます。アミラーゼ活性分析はこの仕組みを利用したものです。余談ですが、セルロースはβ-グルコースが1,4グルコシド結合で連なった一本鎖分子ですが、らせん構造ではなくシート構造を取るため、ヨウ素分子が取り込まれることはありません。また、動物はβ-アミラーゼを持っていないので、セルロースは分解できませんが、草食動物など消化器官内にセルラーゼを産生するバクテリアを保持している場合はそれらの作用でセルロースを分解することができます。下に、アミラーゼのデンプン加水分解反応を示します。

アミラーゼ活性測定法について

アミラーゼ活性を測定する一般的な方法としては、デンプン溶液に、抽出した酵素液を添加し、正確な温度及び時間で酵素作用を行わせます。その後、経時的に反応液をヨウ素溶液に混合し青色の吸光度を測ります。吸光度の減少量からアミラーゼ活性を求めます。一般的な分析の流れを下図に示します。

 

基質水溶液(1%デンプン)

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   ←pH調整(pH5.0)

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   ←酵素液(被検体抽出物溶液)添加

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   ←インキュベーション

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   ←経時的に反応液をヨウ素溶液に混合

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   ←670nmの透過率が66%を超えるまで測定

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活性値変換(ユニット*/g、ml等)

*40℃において30分間に1%デンプン溶液1mLをヨウ素呈色度が670nm,10mmで66%の透過率を与えるまで分解する酵素活性を1ユニットと定義

 

そのほかに、N3-G5-β-CNP(2-クロロ-4-ニトロフェニル 6^5アジド−6^5−デオキシ-β-マルトペンタオシド)などの発色基質を使った活性分析も行われています。また、生じるD-グルコースを酵素的に分解し過酸化水素量として活性を求める方法も利用されています。(^は右隣りの数字が上付きであることを示します。)