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脂肪酸分析について

更新日:2022年11月9日

はじめに

脂質と聞くと、体への脂肪蓄積⇒体重増加⇒肥満、がイメージされると思います。また、さらに動脈 硬化や循環器系障害などをイメージされる方が多いのではと思います。健康診断の脂質代謝の項目の 一つ、中性脂肪値を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。あまり、いいイメージのない脂質で すが、体にとってはタンパク質や炭水化物と並んで必須の栄養素で、細胞膜形成やホルモンの合成に 必要です。脂質は、⾧鎖脂肪酸を持つ生体由来化合物で、一般に非極性溶媒に可溶な成分と定義され ています。脂質は、単純脂質と呼ばれるアルコールと脂肪酸のエステル化合物、複合脂質と呼ばれる リン酸や糖を脂肪酸エステル構造に含む化合物、それらの脂質から生じた脂肪酸類やカロチン、テル ペン、ステロイドなどの誘導脂質に分類されます。食品中の脂質は一般的に中性脂肪(トリグリセリ ド:TG)であり、TG は生体において脂肪細胞などに蓄えられ、必要に応じてエネルギー生産に使わ れています。脂質 1 g は体内で 9,000 カロリーのエネルギーを生み出します。 脂肪酸について 身近な脂質に調理に使う食用油があります。食用油には色々な種類があり、菜種油、ごま油、オリー ブオイルなどは代表的な食用油です。健康志向の高まりを受けて、脂肪が付きにくいことや、コレス 2 テロールフリーを謳ったオイルも販売されています。また、オメガ3脂肪酸を含むアマニ油などが注 目されています。ただ、重量あたりのカロリーは同じなので、残念ながら低カロリーのオイルは存在 しません。よく使用されるキャノーラ油は品種改良された菜種油で、それまでの菜種油には、取りす ぎによる循環器系障害を起こす一価不飽和脂肪酸のエルカ酸が含まれていました。キャノーラ油には エルカ酸を含まず、オレイン酸やリノール酸などの一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。 TG の成分である脂肪酸には、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸 は 4 から 22 まで、一価不飽和脂肪酸は 18、22、多価不飽和脂肪酸は 18 から 22 までの偶数個の炭素 で構成されています。不飽和二重結合は、エライジン酸のみがトランス体で、それ以外はシス体で す。同じ炭素数の脂肪酸でも、飽和と不飽和の違いは集合体の結晶性に大きく関与し油脂の性質に反 映されます。動物は飽和脂肪酸が多く、室温では流動性の低い「脂」ですが、植物の場合は不飽和脂 肪酸が多く、一般的に流動性の「油」です。 健康に関わる脂肪酸として話題に上がるのがオメガ 3 脂肪酸です。オメガ 3 脂肪酸には植物に含まれ るα-リノレン酸、魚類特に青魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸 (EPA)があり、豊富に含む食材の摂取によって、それぞれ血圧降下作用、記憶力の維持向上、血糖 値の改善などの効果があると言われています。また、オメガ 3 脂肪酸の摂取と心疾患との関連性も研 究されています。オメガ 3 脂肪酸の効果に関しては厚生労働省のサイトに記載がありますのでご覧く ださい。


細胞膜は二つの脂肪酸がグリセリンに結合し、グリセリンの一つの水酸基がリン酸エステルとなった 構造のリン脂質を主な構成成分として形成されています(上図)。細胞膜の内側と外側ではリン脂質 3 の組成は異なります。また、細胞膜の流動性は、細胞が機能する上で極めて重要で、多様なリン脂質 の組み合わせによって細胞膜の流動性が変化するので、細胞がきちんと機能するようにその組み合わ せを制御している仕組みは不思議としか言いようがありません。(細胞膜模式図)。


おわりに

脂肪酸は生物を構成するための重要な分子であり、脂肪酸の組み合わせによって分子の物性が大きく変わり ます。それを巧みに利用しているのが生物であるといえます。核酸やアミノ酸など生命の基本となる遺伝子 やたんぱく質を構成している分子と同様、生命の発生には欠かせない分子であったことと、生命の進化にも 大きく関わってきた分子であると思われます。 弊社では油や乳製品など各種サンプルの脂肪酸受託分析を行っています。

詳しくは:https://www.dojin-glocal.com/fattyacid-lpをご覧ください。


 #トリグリセリド #細胞膜成分 #リン脂質 #脂肪酸エステル #脂肪酸 #脂肪


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